Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
今では、1ヶ月に1度ぐらいでさえ弾いていない気がするエレキベースですが、1986年辺りから、1996年ぐらいまで、私の肩書きはシンガーソングライター&ベーシストでした。今は、例えば、確定申告の際の職業欄には「作曲家」と記していますが、1991年、生まれて初めて確定申告をした時の職業は「演奏家」で、その後6年間は演奏家として申告していました。
なぜ1998年辺り(34歳)からベースプレーヤーでなくなったのかというと、ベースを担いでリハーサルや本番に向かうのが苦痛になったからです。それは多分、ベースでなくギターだったとしても同じだったとは思いますが、都市部で楽器を持って移動するのは、なかなか大変なことで、車を持っていたとしても、リハスタやライブハウスには大抵十分な駐車場はありません。近隣の駐車場に停めたとすると、それだけで数千円になることがあり、すべての現場で駐車場代を賄えるわけでないので、結果、楽器や衣装などを持っての、電車やバスでの移動が主になります。それが、若い頃は苦にならなかったのですが、30代半ばになり、体への負担が重くなり過ぎました。また、リハスタやライブハウスのステージ等、十分なスペースがあるわけでなく、重い楽器を下げたまま1箇所にずっと立っていたり、座っていたとしても、自分の場所でじっとしていなければならず、翌日、体の節々が痛むようになっていきました。そんな理由で、有り難く尊敬する方々から「ベース弾いてよ」とお声かけ頂いた時でさえお断りする、ということを徹底することにしました。その年齢辺りで作曲の仕事も増えてきて、演奏家として十分な練習をする時間が減ったという事情もあったのかもしれません。
そんなことを書いていると、思い出すことがあります。ハイポジ時代に知り合った30代の男性ミュージシャンが「前はベーシストだったけど、ベースが重くて辞めた」と仰っていて、若かった私は、「ホントに?そんな理由で楽器辞めますか?」と笑って片付けた記憶があります。当時の交友関係からすると、「くじら」のどなたかだと思うのですが、その10年後、私が全く同じ理由でベースを辞めることになり、「もっと真剣にお話を聞いておけばよかった」と悔やんだまま、20年以上経過しました。そのかたは誰だったのだろう?と、「くじら」のWikiを読んでみたけれど、わかりませんでした。どこかでお会いすることがあったなら、改めて「ベースが重かった」という話をもっと聞かせていただきたいです。その節は真剣なこととは思わず、失礼しました。私もそうなりました。
私は10代に入った頃から肩凝りや頭痛がひどく、大抵「姿勢が悪いことが原因」と言われてきました。確かに、小さい頃から「背筋を伸ばしなさい」「きちんと座りなさい」と言われていたので、生まれつき体幹が弱かっただろうもあるのですが、更に私の体が歪んだままになった原因はしっかり思い当たります。中学か高校の頃、自宅から自転車で20分程度の自転車通学をしていたのですが、若さ故、いつも遅刻ギリギリで飛ばしていたある日、道路を渡ってきた小さな子供とぶつかりそうになり、急ブレーキをかけ、ひどい転び方をしました。歩道を自転車で飛ばしていた私が一方的に悪いし、小さな子を轢いてしまうことにならなかった事だけは、感謝してもしきれないです。子供は心配そうに見つめていて、私はその場で泣いてしまったほど痛かったのですが、「大丈夫大丈夫、幼稚園に行くんでしょ?行っていいよ」と追い払い、遅刻ギリギリだったので、片足で自転車を漕ぎ、学校に行きました。学校では、全く体重がかけられないほど右足が痛み、階段を苦労して登っていたら、友達が「ちょっと大袈裟じゃない?そんな歩き方しかできないの?」と嫌そうに言ってきたのを覚えています。家に帰っても、ウチの母は、私が風邪をひいたり怪我したりすると、必要以上に世話を嫌がる性格だったので、倍以上に腫れ上がった足首を見ても、「バケツに氷水入れて冷やせば?」と嫌そうな顔で言うだけで、結果、病院にも行きませんでした。治るまでどう過ごしていたかもう覚えていませんが、後々、その足首はちょっとしたことですぐ挫く箇所になってしまい、今でもハイヒールを履いたりすると、理由もなく転んで何日も歩けないようなことが起きてしまいます。ジムに長年通ってもいますが、体重を足の裏でうまく扱えず、望むフォームに辿り着けないでいます。お医者さんや色々な人と話す度、「あーそりゃ靭帯やってたんですね。ちゃんと治療すりゃ良かったのに。」と言われます。もう間に合わないので、悔やんでもしょうがないのですが、そのせいで体がどんどん歪み、ベースを肩から下げて立つのも無理になった、と思っています。今も、鍼治療や整体、整形外科のリハビリ等受けるたび、「こんな硬い人はいないです。」「この状態でよく生きてますね。」「あなたは何か運動をすればするほど体の歪みがひどくなるタイプです。」「水中ウォーキングしか向きません」等と言われ続けて数十年です。
ということで、いつから私の右足はおかしくなったのか?写真で分からないかどうか、探してみました。今も昔もミニスカート大好きっていうことでなかったので、足を出した写真は豊富にはありません。あと、水着の写真なんかは自慢できたものでないので、非公開です。年齢順に並べてみましたが、鎌倉のどこかでだらしなく立っている高校生らしき全身写真の頃が、足首関節靭帯損傷を受けたあとだ、と確実にわかる写真です。もう立ち方が既に老けていますね。姿勢が悪いせいで、お腹もぽっこり出ています。その後はますます足を出した写真が見つからず、誕生日プレゼントにルーズソックスを冗談でくれた友達のために、ふざけて撮った写真が最後です。
最近は、長時間パソコンに向かい続けた影響か?はたまた右足にうまく体重がかけられない長年の影響なのか?左肩だけが前にどんどん出てきてしまい、2021年の私のアルバム「1964」の写真では、きちんと正しい姿勢で歩いているつもりの、私の肩の歪みがわかると思います。
靭帯が無事な頃の無邪気な小学低学年の私の背中と共に。