Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
お盆シーズンということで、昨年から今年に亡くなったアーチストの個人的追悼をすることにしました。
・ウェイン・ショーター
世の中的にはそんなに有名ではないのかもしれないけれど、60年代にマイルス・デヴィスのいわゆる「黄金クインテット」やブルー・ノート・レーベルで発表した数々の名作アルバム、70年代以降のウェザー・リポートでの長い活躍など、偉業がたくさんあります。演奏も素晴らしいのだけれど作曲が凄くて、謎がたくさんある。セロニアス・モンクと同じで、短い曲の中に含まれている世界がとても大きいです。自伝や伝記映画では思考が浮世離れしているので「???」となるのだけど、作曲家としては尊敬して止みません。
・ダモ鈴木
自分がメンバーだったら最高だなと思うバンドの最高峰はCANです。リズムが最高でメンバーの関係性もとても自由。キャプテン・ビーフハートのマジック・バンドも素晴らしいけれど、バンド内のコミュニケーションはワンマンバンドで辛い。儲からないどころかひもじいというのだから、大変です。ダモさんとは一回一緒に演奏する機会があって、演奏メンバーやオーディエンスと共鳴して熱いエネルギーが循環していくのがとても素晴らしかったでした。
・フランソワーズ・アルディ
大学の軽音で、先輩たちにたくさん、色々な音楽を教わりました。「これを聴いとけ」ということでレコードをまとめて貸してもらって、研究するわけです。フランスものではジャンゴ・ラインハルト、ブリジット・フォンテーヌ、フランソワーズ・アルディが良かった。ブリジット・フォンテーヌの「ラジオのように」とフランソワーズ・アルディの「Entr’acte」をカセットの両面に録音して繰り返して聴きました。
フランソワーズ・アルディはアイドル歌手だった60年代後半(ゲンズブール作詞の「さよならを教えて」など)が人気が高く、ジョニ・ミッチェル・スタイルのシンガー・ソングライターとなった70年代以降は地味な存在となっていったのだと思いますが、’74年の「Entr’acte」はフランス風な落ち着いたジャズ・ロックのサウンドが楽しめます。「Entr’acte」は「幕間」という意味で、本格的な恋愛の合間の軽い逢瀬を実況中継する楽曲が並んでいる。「大人だなあ」とぼんやり思ったものです。イメージは「ジュールとジム」とか「若者たち」のようなフランス映画と重なっていたかもしれない。