Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
海外のサスペンスドラマをよく見ています。英国のドラマでよく使われる、70年代の時代背景を表したり、主人公思い出の曲だったりするティナ・チャールズの曲をYoutubeで見て驚きました。
衣装がとにかく衝撃的です。この頃彼女は22歳ぐらいです。よく言われることですが、音楽とファッションは切っても切れないもので、大掛かりなショウビジネスでは、最先端の衣装が好ましいですよね。スターが煌びやかであったり、高価でかっこいい服を身につけているのが見たいからです。同時に「自分は普段着でステージに立つのだ」と強い意志を持った人もそれはそれで魅力的ですし、「服に関して着るも見るも全く興味がない」「音だけ聴いてくれ!」という人もいます。とはいえ、なぜ22歳のティナ・チャールズがこの服を着させられたのか?と疑問に思ったきっかけに、この辺の時代の「魅惑(?!)のハイウエスト」が目立つ映像を探してみました。見ていただくとわかると思いますが、最近のハイウエストとは、シルエットや素材感、コンセプトも違います。所々笑うなかれ、当時はみんなマジなんです。
この時代といえば、ABBAも中心的存在ですが、ちょうどいい映像がなかったのが残念です。1978年公開の映画「サタデー・ナイト・フィーバー」では、ジョン・トラボルタはハイウエストのピッタリしたパンツにシャツインでした。私はリアルタイムで映画館に観に行きましたが、「日本人のセンスからすると、ジョン・トラボルタの魅力がわかんないし、ファッションもどちらかというとダサいような。」と思っていました。当時の正直な感想なので、大好きだった人には申し訳ないです。ビー・ジーズの楽曲も他の楽曲も素晴らしいですが、時代を経てみると、現象としてダサいところに分類されがちなのが残念です。この映画が大ヒットした1978年、英国では、既にセックス・ピストルズが存在していました。
後で知ったことですが、セックス・ピストルズのファッションは、服にお金をかけられない若者の自然発生的ファッションというよりは、マルコム・マクラレンとヴィヴィアン・ウェストウッドが仕組んだ、最先端のファッションだったんですね。ビー・ジーズやジョン・トラボルタのようにシャツインのハイウエストではなく、ダラっとシャツの裾が垂れているスタイルが非常にオシャレでした。当時中学生の私は、安全ピンをピアスとして刺しているように見えるイヤリングを持っていましたし。
話をハイウエストに戻します。そもそも自分はハイウエストのジーンズやパンツを70年代後半に履いたのか?全く思い出せないので、写真を探してみましたが、古い写真はどんどん捨ててしまっていて、見つかりませんでした。松田優作が「太陽にほえろ!」で「ジーパン」と呼ばれていた70年代前半は、ハイウエストより前の、ベルボトム全盛で、私はまだ小学低学年ほど。自分がどんな服を着るのか全く興味がなかったような気がします。特にジーンズは今ほど色々なメーカーで作っていなく、急行が停まるような駅に個人経営のジーンズ屋が一軒あるかないか?ぐらいで、安価でもなく、そうみんな履いていなかったと思います。今でも覚えているのは、下北沢にジーンズメイトが出来た時に、実家にチラシが入っていて、母と出かけたことです。ジーンズメイトが出来るまでは、ジーパンは安い服ではなく、子供が着るとしたらやや贅沢品だったのが、ジーンズメイトでは、薄手のジーパンが千円以下といったような安価で売られていて、赤や黄色のカラージーンズなど、何枚も買って帰ったことを覚えています。「いったいあの下北のジーンズメイトはいつ出来たのか?」と、検索したら、Wikipediaに『1978年、下北沢に一号店が出来た』と書いてありました。78年ということは、サタデー・ナイト・フィーバーが流行った年ですね!ならば、ハイウエストのパンツを買ったのかもしれません。服飾関係の人のテキストなど読み漁ると、2000年にローライズが登場するまで、ジーンズは、80年代からずっとハイウエストだったそうです。80年代からニューウェーヴ女子だった私は、ハイウエストのジーンズを一切体験しませんでした。
80年代ハイウエストのジーンズと言えば、この人達が象徴的ではないでしょうか?
なかなかツッコミどころ満載。
ジャーニー、フォリナーと来れば、「産業ロック」と揶揄される枠ですが、ここでは掘らないです。フォリナーの1stアルバムは買いましたよ!
米英でだいぶテイストが違う。
このシルエットなら結構日本でも流行った記憶あり。
洋服のシルエットは時代と共に移り変わり、素材や縫製も進化するので、再度、70年代後半スタイルのハイウエストや80年代のジーンズが大流行するとは思えません。似たようなスタイルが流行ることがあるとしても、シルエットは進化し洗練されたものになるはずです。そんな心持ちで、再度、お茶目なハイウエストの映像をご覧ください。
映画「サタデー・ナイト・フィーバー」でも使われたOSTラストの曲、トランプスの『ディスコ・インフェルノ』
マドンナが2006年のツアーでカバーした『ディスコ・インフェルノ』。ハイウエストは踏襲していますが、素材感は全く別物で、腿周りのシルエットが俄然お洒落に進化しています。
ではまた。