Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
4月2日に久々にミラノに戻り、もうこのコラムの番が回ってきたのかと驚き、日記のように書き始めてみます。今回は4月1日羽田発台北経由のEva航空でのフライトでしたが、2日後に、あのような地震があったことに驚いています。4月2日に東京で確認したい案件があり、フライトの日程を延ばそうかなと思っていたところ、3日のフライトは取れなく断念しましたが、もし変更していたら、間違いなく出発できなかったでしょう。
午後3時過ぎに台北の松山空港に到着。入国検査で青果物等の持ち込みは厳罰となっていて、お土産に買ってきた柚子、茗荷、大葉を泣く泣く自己申告して破棄処分。警察犬も居て、柚子なんて持ってたら一発でバレるので。経由する国によって、色々事情は変わりますが、台北は厳しかった。生麺のラーメンとか、サンドイッチやお弁当も駄目。意外なところで、電子タバコや加熱式たばこも持ち込めないそうです。紙巻きたばこはOK。トランジットで荷物をピックアップして、空港を移動しなきゃいけないなんて便は取らないのが普通ですが、羽田から乗りたい、せっかくなんで台北観光したいなんて思った自分が悪いんです。
無事入国し、次のフライトまでは7時間ある。そして桃園空港に移動しなければならず、でもこの行程は、前回ミラノから来た時も移動は逆ですが同じなので勝手はわかっています。今日だけ必要な現金を両替して、台湾のSUICA的なeasy cardを購入。前回はペリカン便のカウンターに荷物を預けましたが、今回は無事コインロッカーに預け、バスで最寄りの遼寧街夜市へ。うろうろしていると、店のおばちゃんが、”何か食べるか?”と日本語でぶっきらぼうに話しかけてくるので、ここは乗ってみることにしました。迷ってると、ガチョウ旨いよ、と言うので、ガチョウ?、鴨ではないの?一緒?まあいいかと思い、それと焼きそば的なものを頼んで、席に座って、飲み物はどうするのかなと思って店内を見回していると、ああ、勝手に冷蔵庫から自分で持ってくるスタイルね。角打ちぽくていいね。テーブルに栓抜きあるし。2皿とビールで、値段は2000円弱。鴨、いや、ガチョウは、バジルっぽい、でもイタリアのそれとはちょっと違う葉っぱと生姜の千切りと一緒に、ごま味噌ダレっぽいソースで食べるもので美味しかったです。焼きそばはやめて海鮮系にすべきだったかな。
食いかけのだめ写真で申し訳ありませんが、こんな感じ。
店を出る時に気付いたのですが、安住紳一郎さんと吉田羊さんの写真が貼ってあったので、日本人観光客慣れしているのかな。松山空港から近いので、トランジット中に、ふらっと行くにはいいと思います。検索したら、ここですね。「鵝肉城活海鮮」そうか、有名店だったのか。Brutusの表紙にもなっていたのか。店のおばちゃん、声かけてくれてありがとう。
地下鉄の南京復興駅まで歩いて、松山空港に戻り、桃園空港行きのバスに乗って約1時間。ミラノ行きの飛行機はほぼ満席ですが、エコノミー最前列の3席が空いている!
その真後ろの席を予約しているのは、その席が空いている可能性が高いこと踏んで、最終的に誰も来ないことを確認し、すぐに移動して、最前列一列占領出来て快適なフライトになりました。この席は、事前予約料が高いので、意外と空いているのと、通路側は配膳の関係で、そもそも座れない席になっていたり、(このあたりは各航空会社によりますが)今回は予想通りの展開です。長時間座りっぱなしなので、機内食を食べると到着した後、お腹を壊すことが多いので、今回はグルテンフリーで予約した所、内容的にも大正解でした。特別食を予約すると、一番最初に配膳してくれるのでおすすめです。
トイロのココロに書いたように、ワイヤレスノイズキャンセリングイヤフォン&トランスミッターが今回も活躍して、2日の朝ミラノに到着しました。空港でカーシェアリングしたかったのですが、あいにく車がなく、マルペンサ・エクスプレスで市内へ移動。復活祭の翌日のせいか、帰省客で超満席状態。車内奥に詰めるとか、停車駅で、ドア付近の客は一度降りて、降車客を先に通して、また乗車するというような日本の乗車マナーは皆無です。カオティックな車両からようやく降りて、昨年まで住んでいた家の隣人、プロダクトデザイナーの大城健作くんのスタジオに荷物を置かせてもらい、カーシェアリングをを探して、半年以上放置している倉庫兼仕事場へ行きます。因みに、僕がよく使うEnjoyというカーシェアリングの車種はFiat 500のハイブリッド車で、マニュアル車です。なぜかイタリア人は未だにマニュアル車に乗る人が多いのです。レンタカーを借りて、オートマで予約したのに、マニュアル車しかなかったという話はイタリアあるあるな話。さて倉庫に着くと、心配していた浸水や、カビは全く大丈夫でしたが、あれ?電気が止められている。居ない間に電気会社が、吸収合併したらしく、何ヶ月か支払っていない状況になっている。サポートに電話し、振込み手続きをし、振込内容をメールして手続きは終わり。24時間以内に復活するという話ですが、イタリアの場合、そうはうまくいかない。
とりあえず明日まで様子見なので、その日は大城宅にお世話になり、アスパラガス、プンタレッレ、サラミ盛り合わせを肴に、二人でワインを2本飲んで、爆睡zzzz。
再び電気会社に電話して、ちゃんとメールが届いているか、いつ復活するかなど食い下がると、その40分後に無事復活しました。電気さえ通れば、あとはなんとでもなるでしょう。
倉庫を片付けつつ、ミラノ市営プールの3ヶ月のパスを購入してみました。市内12箇所あるプールの好きな所に行って良いので、とりあえず一番近い所を覗きに行ってみたら、改装中で年内は閉鎖だと!ホームページにはそんな情報出てないのに。仕方なく別のプールに行ってみる。ロッカーに鍵がなくて、自分で南京錠を持っていって閉めないと鍵がかけられない仕組みなのか。貴重品だけプールサイドに持っていき軽く泳ぐ。日本とルールが違うのが、追い越しOKなので、レーンに人が多いと泳ぎにくい。翌日は、昔から一度行ってみたかったCozziという1934年開業のプールに行ってみる。33mという変わった長さ(一往復半で100m位)最深5m!一番浅いところでも1.7mなので、壁に捕まらないと、足がつかない。建物は古いが、ロッカーとシャワーは改装されていて使い勝手は良いです。ここの営業時間が、平日は朝6時半から15時までという変な時間帯で、仕事前に通う人が多いということなのかしらん?このプールは、ファッションショーの会場になったりすることもあり、普通にビジター利用も出来るので一見の価値はあると思います。
さて、話題はがらりと変わります。
今、東京ミッドタウン5階のデザインハブで、5月6日まで、”PROGETTAZIONE (プロジェッタツィオーネ) イタリアから日本へ 明日を耕す控えめな創造力”という展覧会が開催されていて、この展覧会の第一部の主人公である城谷耕生君について書き留めておきたいと思います。彼は残念ながら、2020年に亡くなってしまったのですが、同い年で、’91年にイタリアへ渡ったのも一緒で、ミラノで知り合いすぐに仲良くなった親友の一人でした。長崎雲仙市の温泉街の小浜町で生まれ育ち、2002年に帰国後も都市部ではなく、小浜町にスタジオを構えました。彼がイタリアで培った、デザインとは、消費型の生産性を追求することではなく、あるプロジェクトを立ち上げた場合、それに関わる全ての人に恩恵があり、より豊かな生活(物質的な意味ではなく)社会性のある想像力、つまり人間の生活環境の改善までを見据えた、そんな思想に共感した若いクリエーターが、その小浜をはじめ、様々な形で根を広げている様子を実感出来る展覧会になっています。入場無料なので、六本木界隈にお出かけの際はぜひ立ち寄って下さい。ミッドタウンの中でもちょっと場所がわかりにくいが、デザインハブという名前で探していただければわかると思います。