Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
と、いえば、もうおわかりですよね?
ていうくらい、みなさんにも浸透してきてるんではないか、と思います。この本。
プロ野球音の球宴・ディスクガイド(東京キララ社)
ちまたに数あるレコードガイドブックの中でも「野球関連」のみに特化したことで一線を画した、史上類のない一冊になっています。
このカバーに登場している著者のF.P.M.中嶋、こと中嶋勇二こそ、私、加藤賢崇や岸野雄一とともに1982年に東京タワーズというバンドを結成して以来、共に活動をしたりしなかったり今に至る長年の盟友。トイロの関係者ともなじみの深い人物です。
一方で、彼の生涯をかけたフィールドワークである、野球レコードコレクションが、ひとまず形になったことを祝し、みなさんにも経緯をご説明します。
トイロミュージックが、かつてはマニュアル・オブ・エラーズ・アーティスツ(通称マニュエラ)という音楽事務所に在籍した多くのメンバーにより、立ち上げられたことはご存じでしょうか。
では、そのマニュエラが立ち上がったのは30年近く前、1990年代後半の高円寺でしたが、3階に事務所があったビルの1階のカレー店を深夜のみ間借りしてマニュエラカフェと名付け、DJブースをしつらえて数々のイベントもやってました。
古くからのロック喫茶とはまた違う、日替わりでジャンルやテーマを細分化して音楽を楽しむ。近年も再び盛り上がりを見せる、ダンスフロアのない小さなハコでの音楽イベントのはしりだったと思います。私もテクノ、プログレ、K-POP、洋楽カラオケ、プロレステーマ曲など様々なイベントを企画したものでした。
ここで中嶋くんが始めたのが「プロ野球音の球宴」でした。
1970年代〜80年代に多く残された、プロ野球の名選手が歌う歌謡曲のレコード(現在は解説者や監督・コーチになっている、当時のスター選手たちがオリジナル曲でシングル盤をリリースしていた時代)をメインに、各チームの公式応援歌、非公式に作られた企画物の応援歌、野球をテーマにしたアニメや映画の主題歌など、野球に関する楽曲のみを回し続けるDJイベント。
当初は私もDJで参加し、フライヤ制作も手伝っていました。
やはり長年の盟友で、マニュエラ〜トイロにもなじみのある写真家の常盤響くんなどもDJで参加しました。
まあ、私や常盤くんなども野球好きですけど、とはいえ普通のファン。中嶋くんの野球レコードに対する度を超えた偏愛ぶりに、ついていけない。。と徐々に離れた位置から傍観する立場となっていきました!
2000年代以降は様々にハコを変えながら「プロ野球音の球宴」は継続されていき、私もお客として通ってましたが、少しづつテーマが「家族もの」に移行する時期もあり、野球選手の妻が元アイドル、野球選手の娘が現役アイドル、かつての名選手の孫が地下アイドル、といった、楽曲そのものは野球と関係ないアイドル歌謡ばかりが回される現場となることもあり、ちょっとあきれて、また離れた時期もありました。近年はバランス良く是正され、年月を経て、さらにコレクションの幅も広がり、オールジャンル?!の野球レコードが聴ける現場になっています。
しかし、そうしたスポーツ選手の歌が店頭に並び、テレビやラジオで当たり前に聴けたのは、昭和の時代の話で、最近のスポーツ選手はめったに歌いませんよね。
だからこそ、音源として残っているのが昭和のドーナツ盤ばかり、ということで、近年の昭和レトロブーム、アナログレコードリバイバル、Z世代のヴァイナルマニアな若者がディグる対象としても野球レコードが見直されたのが追い風ともなって、このたび20数年越しの野球ディスクガイド出版ともなりました。
なんとジャストタイミングではないかと思います。おめでとう!
上記の文章で、じゃ具体的に野球レコードって何? と思われた方は、ぜひ本のほうをご一読ください。ジャケット写真を見るだけでも楽しいと思います。
まあ中嶋くんはバンドマンでもあり、80年代後半〜90年代のブリティッシュ・ロック、インディーギターポップなどにも造詣の深い人なので、そのへんのDJをやる機会もぜひ増やしていただければ、とも思っておりますが〜。。。