Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
「寒天、ゼラチン、イナアガーを使い分けて!作る冷たいお菓子!!」を書こうと5時間前までは思っていた。今日は晩ごはんを作らなくて良いことになった。急に。もっと早くわかっていれば友だちと約束とか出来たのに、ぽっかり手にした自由時間を何に使うか。映画と一人ご飯にいくことにした。少し気になっていた「福田村事件」を見よう。時間を見るとギリギリすぎた。走って電車に乗って間に合うかどうか。とりあえず家を出て走っていくとほぼ満員だったので、もう座席の選択肢がない。もっと空いてるのかと思っていて完全に認識不足ですみませんでした。
実話にもとづいた……とか、関東大震災から100年で……とか、ところどころの情報は得ていたが、こんな話だったとは。この映画で知るまで、この事件のことを知らなかった。色んな人の色んな事情が重なり合う周辺の部分はフィクションなのだろうけど、こんな事件が実話だなんて。あまりの救いのなさに言葉を失う。いろんな事情が二重三重と重なっている。寒天を使ったお菓子の話が吹っ飛んでしまったので、福田村事件のことを書こうと思う。
震災発生5日後の23年9月6日に福田村で実際に起きた事件の話が軸になる。香川県から薬の行商に来た被差別部落出身の男女15人のうち、親子ら9人(妊婦、赤ちゃん含む)が村の自警団に殺された。聞き慣れない讃岐弁を話す一行が朝鮮人と決めつけられたことがきっかけで、遺体は利根川に投げ込まれたという。
この行商の人たちが香川県三豊郡からの一行で、讃岐弁がきっかけで事件、という記事を読んで気になっていた。私の祖父は香川県三豊郡の出で、私の両親はともに香川県出身だからだ。よって香川には親戚がたくさんいるので讃岐弁には馴染みがある。
映画から聞こえる讃岐弁もスルスル耳に入ってくる。自分自身はネイティブな話者ではないが。落ち着いて平和な時なら言葉の差もそう問題にならないのかもしれないが、非常時で不安になっている時はちょっとした違いでも揉め事の種になるのだろう。
今月は老母のつきそいで「ローマの休日」「こんにちは、母さん」(山田洋次監督作品)を見ていたので、そのどちらともちがう(当たり前)。どんよりと重たいものをかかえたような気持ちになる映画で、まわりの人たちもたいそう衝撃を受けていたように見受けられた。キャスト情報もあまり知らず、あ、小雪が出てるのか、子どもが生まれてからずいぶん雰囲気変わったなあ、やっぱり育児が大変なのねと思ってたのだけど、エンドクレジット見たら、コムアイでした。
讃岐弁、讃岐弁とは……、自分だったらどうするだろう、どっち側だとしても何も出来ないにちがいない。そう考えると本当にこわい。
劇場から出たら海外からの観光客がおおぜいいた。どこの国の言葉かまったくわからない。
大声で話しながら大量に胃薬やのど飴を買っていた。自国で買うよりもかなり安いのだろう。ばらまき用お土産か。「お休みありがとうございましたあ~。連休に、日本に旅行行ってきましたあ~」とか言いつつ、同じ部署の人たちに配るのだろうか。そんな昭和のOLみたいな風習がその国にあるのかどうか知らないが。
どんよりしたけど、見に行ってよかったと思った。もう一回見たいくらい。これから関連の記事を読んでから寝よう。まだの人はぜひ。
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