Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
高所恐怖症なんですよ。
それを自覚したのは割と最近で、ヒゲの未亡人の欧州ツアーでドイツに行った時にケルンの大聖堂に登ったのですが、屋根のてっぺんに登る吹きっさらしの階段で目眩がして腰が抜けてしまって登れなくなってしまったんですよね。それこそヒッチコック「めまい」のジェームス・スチュアートのように。一応、東京タワー、スカイツリーの展望台などガラス張りでも空間として密閉されてさえいればかなりの高所でも大丈夫なんですが、風が吹き込む様な高所だと途端に足から血の気が引きます。なので金網の柵しかない上に天井がないエッフェル塔の展望台は恐怖でした。
現実の体験でなくても映像で見てるだけでもかなり辛いです。インスタのリールで見かけるビルの高所から高所へジャンプして走り抜けるようなパルクール動画とかもさーっと血の気が引きますね。
ホラー映画だとどんだけ恐ろしい心霊映画であっても夜眠れなくなる事なんてただの一度もないどころか、夜中にホラー映画の恐怖劇伴をむしろ嬉々としながら作ってる僕ですが、高所恐怖症映画となると全く無理でして、顔を手で覆ってもう見てられなくなっちゃいます。
最近、まさにそういう僕にとっての究極の恐怖を突きつけられた映画を見たのでその紹介を。今春公開された「FALL/フォール」という映画です。地上600mのテレビ塔にクライミングしたら梯子が消失して降りれなくなってしまった!どうやって脱出する?…というプロット。地上600mといったらスカイツリークラスの高さ、そんなところに命綱なしで取り残される恐怖!玉ひゅんどころの騒ぎではない、高所恐怖症には地獄のような映画でした。全編一人で「無理無理無理無理!」と絶叫しながら怖くて画面を正視できなかったですね。この時はじめてホラー映画苦手な人の気持ちが理解できました。この「FALL/フォール」、公開時にスクリーンで見たかったのですが、いやいや、いつでも休憩入れられる自宅での鑑賞で正解だったかも。
数年前に公開されたロバート・ゼメキスの「ザ・ウォーク」もニューヨーク世界貿易センタービル、いわゆるツインタワーの屋上を綱渡りした人の伝記映画でしたが、これを当時IMAX3Dで絶対見たいと思っていたのですが仕事と重なって見れず仕舞い…でも見てたら劇場で気絶、失禁してたかもしれません。予告編をYou Tubeで見るだけでタマヒュン…。
こういう高所恐怖症向け映画でもう一本思い出すのが1979年の「超高層プロフェッショナル」です。超高層ビル建設に挑む建築作業員の物語、期限以内に鉄骨組み立てを完了させなければならないが様々な妨害工作が入るなか、果たして工期に間に合うのか?…という建築アクション映画なんですが、ハラハラドキドキで面白いんです。古い映画と侮る事なかれ、音楽効果合わせてなかなかの玉ヒュン度。とはいえハリウッドだから安全な撮影がなされてると思いきや転落シーンでスタントマンが亡くなってたりするので全く気を抜けない映画です。ゼロCGでも編集でしっかり高所恐怖症を震え上がらせるには十分!ドバイあたりを舞台に現代でリメイクしたら…絶対に見に行けないわ!
ついでに漫画だと楳図かずお先生の「わたしは真吾」を忘れるわけにはいかないです。幼い少年少女が結婚するために産業用ロボットの指令に従って東京タワーの頂上からヘリコプターへと飛び移るシーンの高所描写にゾクゾクしたものですが、このシチュエイションって「FALL/フォール」の電波塔頂上の狭い空間となんか似てますね。
ゲーム方面に於ける高所恐怖症系はもっとやばいです。VRのゲーム「Richie’s Plank Experience」は高層階に設置された板の上を歩いて渡るのを疑似体験するゲームで、VRならではの現実感、没入感が味わえて本気で足がすくんでしまいます。このゲームをやりたいが為にVR Oculus Questを買いました。転落するとどういう風に景色が見えるのか(まあ知りたくもないですが…)実際に体験してより高所恐怖症が深化した気がしてます。このVRでの高所疑似体験ではクライミングに特化した「The Climb2」もおすすめです。
これだけ高所怖いと言いながらも映画だゲームだ…と次々チャレンジしてるのはなんなんでしょうか(笑)。当然ながらバンジージャンプなんて絶対に無理!間違いなく気絶します。ただ、バンジーを疑似体験できるVRゲームが出たら絶対やってしまうんですよね…。以前のコラムで趣味を山登りにしよう!と決めた僕ですが、これも高所の恐怖をギリギリ安全に楽しみたいという密かな願望がなせる技だったのかもしれません。