Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
額に出来た粉瘤がなんかちょっとやばくなってきたので簡単な除去手術をしたのですが、部分麻酔無しで、患部にいきなりメス入れられ、最後3針縫合されるまで、約20分。骨折や、大病もしたことがなかったので、人生で一番痛い思いをした時間でした。縫合中の音が頭蓋骨を通して振動で聞こえてくる恐怖。頭にコンタクトマイク貼って録音したかった、、、という話はどうでもいいのですが、
鈴木楽器製作所、創業70周年記念 で、オムニコードがこの秋復刻されるそうだ。
デペッシュ・モードが”Wrong”という曲で使用しているのが(1:50あたり)で確認できます。
僕が持っているOM 84というモデルは、1オクターブ各12音に付き3つのボタンがあって、例えばCだったら、C/Cm/C7/Cm7/Cmaj7/Caug/Cdimと7種類のコードを出せ、それが12個分あるので12x7でOM 84という名前になっています。アコーディオンの左手のボタンと同じ仕組みです。その右側の縦長のストラムプレートと呼ばれる部分をコードボタンを押しながら、上下に動かすと4オクターブのアルペジオが鳴ります。更に、リズムボックス内蔵で、自動伴奏機能もあり、楽器が弾けない方でも、簡単にコード演奏が出来る電子楽器です。1984年製。
たまたまEbayで見つけ、衝動買いしたのが2006年位だったかな?当時はまだ安く、200ドル位だったと記憶していますが、最近は500ドル前後で取引されています。まあ、昨今のヴィンテージ機材ブームの中では全然安いと思うけれども最近は、出品数も少ないですね。
オムニコードが使われている楽曲は新旧、沢山あるのですが、使われ方は脇役な感じなので、あ、オムニコードだって思うのは、持っている人だけかもしれません。
一番有名なのはユーリズミックスの”Love is a Stranger”とか。
イントロから鳴っている白玉とアルペジオはまごうことなきオムニコード。
ゴリラズの”Clint Eastwood”はOmnichordで作ったとメンバーが証言しています。オリジナルの音色はあまり聞こえませんが。自動伴奏機能まんまです。
オムニコードを購入してから10年後の2016年。ミラノで知り合った日本人DJのHacciが同じOM 84を携えスタジオに遊びに来て、「あーそれ僕も同じの持ってるよ」と2台並べて見るとなかなか良い眺め。オムニコードで曲を作っていたHacciのデモを聴いて、そういえば、ポップスって今までほとんどやったことがなかったなと思い、貰ったデモをアレンジして歌を録音して、月2曲ペースで出来上がり、Aparell Musicというレーベルからオムニネという名前でMaxi EPを出して、イタリア国内ツアーを30箇所くらいやって、2018年辺りでほぼ活動休止。その後もたまにライブをする機会はあったものの目立った活動はしていなかったのですが、時間のある時にアレンジを再考したり、歌を録り直したり、細々とブラッシュアップはしていました。6月8日にミラノの トリエンナーレの庭にある野外ステージ でライブというお話を頂き、じゃあその前にリリースしますか、ということで、9曲入りのアルバムを6月4日に配信しました。オムニコードは1984年の楽器なので、使う音色は1984年でも出すことが可能であったであろう音色で構成しました。当時リアルタイムで聴いていた、身体に染み込まれている手法を、Vaporwave的なパロディではなく、40年後に音楽言語として喋ってみるという作業をしたつもりです。
今秋復刻されるオムニコード、楽しみにしています。