Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
ゴールデンウィークに古くからの友人、SS木くんと会うことになった。SS木くんは美術大学の先輩なので、当時は「SS木さん」と呼んでいたのだと思う。いつから「くん」と呼ぶようになったのか覚えてないけれど、そのSS木くんが今度ご飯食べる店はハルコの行きたい店でいいヨ、どういう料理でもオレはかまわんヨというので、ホルモン焼きにした。昼間から大久保でホルモン焼き、やってる店あるだろうかと思ったら普通にたくさん営業している。さすが大久保。
私はものすごくホルモンが好きなので、普通の焼肉屋さんで少しだけ頼もうかーという扱いのホルモンでは物足りない。ホルモンだけで一食終えたい。野菜もキムチもなくていい。内臓をひたすら焼いて食べたい。
SS木くんがお酒を飲んでいた。私はお酒、きらいではない。昔は飲んでいたが数年前にものすごく具合が悪くなってからはやめていたんだった。コロナになってからはさらに飲んでいない。その後、人と会ってご飯をする機会が少しずつ増えてきて他の人が飲みながら、平常時より少し陽気になったりしてるのを見てうらやましくなった。飲んでいる人たちの中で一人だけ、すーっとした感じでいるのはさみしい。もちろん飲まないで飲み会に参加することは出来るけど、一緒に飲みたいと思う。
以前飲めてたころもそんなに強かったわけではないが、こんなに飲めなくはなかった。またおつきあい程度でも飲めるようにならないかな、と思っていたところだった。ホルモンを食べながら、レモンサワーとか飲んだら爽やかでいいんじゃない?昼だし一杯くらい飲んでも大丈夫じゃない?と思って頼んでみた。恐る恐る飲むととても美味しくて、ホルモン焼きに合う。
私たちは昔の話と最近の話と時代は昭和、平成、令和と飛びまくりながらも楽しく飲んだり食べたりした。お酒、大丈夫になったみたい!だから、二杯目も飲んでも大丈夫だと思う!そういう適当な判断をするところがもう、すでに酔っている……という感じですが、酔っているから、ドでかいジョッキに入っているのを頼んでグビグビ飲む。
会計終えて店の外に出たところ、店員さんが「ワスレモノ!」と走ってきた。渡されたものを見ると私のスマホだった。今までスマホとか忘れたことなかったのに!ちょっとショック...!とはならなかった。酔っているので、まーそういうこともあるよねー、持ってきてくれてアリガトウ!という感じ。無駄にハッピーです。
お店を出て少し歩いてハラルフードの店などを見る。ここでSS木くんとは別れた。もう少し食料品店を見たい。ドスドス歩いてドリアンやグルグル巻きになったホースみたいなもの、冷凍されてたからなんだかわからないけど、マムシ的なものだろうか。ブタの頭や豚足、レモングラスとかコブミカンの葉っぱとか色々見る。特に何が買いたかったわけでもなかったけど、せっかくだから、ローリエの葉っぱをを買った。業務スーパーで冷凍のマンゴーといちごも。
駅の近くまで行った時、そうだ、今日は時間があるから歩いて帰ろうと思い立った。だいたい1時間くらいだから平気で歩ける。運動不足も解消されるし、いいじゃんいいじゃんとどんどん歩く。途中でいろんなスーパーに立ち寄って菖蒲湯用の菖蒲と豚の心臓を買ったあたりで、もしかして自分はものすごーーく酔っているのではと少し思った。ようやく。酔っているから気がつくのが遅い。
歌舞伎町の中で迷ってうろうろし、通常の二倍くらい歩いていた。空腹でホルモンを食べ、レモンサワーを二杯。わははは、と楽しい気分だったけれど、家にたどり着いたころにはだいぶ具合が悪くなっていた。喉がとても渇く。ものすごく暑い日だったし、体に熱がこもったような感じと頭がぐるぐるして痛い。二日酔いならぬ当日酔いだった。楽しい良い気分から一転して地獄の苦しみ。飲めないのを知っているくせに飲んでしまった自分がいけないという自己嫌悪もあって余計凹む。
以前もものすごく暑い日にビアガーデンで二杯くらい薄いサワーを飲んで店を出る時にはもう地獄の苦しみだったことを思い出した。お酒のことを考えたり、「酒」という字を見るだけでも辛い。結局そこからまる二日、枕をかかえて悶え苦しみつつ、自己嫌悪にまみれるという近年稀に見るダメなゴールデンウィークだった。とりあえず休みでよかった。体を動かすと気持ち悪さの波がじわじわ来る。寝返りを打つのもつらい。頭を動かさないようにそーっと動いて、嵐が過ぎ去るのを待った。今までも何度かこういうことがあり、その度に「もう飲まないでおこう」と思うのだけどまたやってしまった。
今回は相当だったので、これからもう死ぬまで飲まないつもり。ホルモン焼きに行ってもホルモン焼き係に徹して飲まないでいようと思う。
惑星ソラリスが英語字幕つきで無料公開されています。モスフィルム公式チャンネルで。YouTubeにロシア国有映画会社の作品が公開されてるとはちょっとびっくり。