Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
『全てのCookieを受け入れますか?』
今日もインターネットに「Cookieを受け入れるか」と問われた。果たして、わたしはCookieを受け入れるべきなのだろうか。5分、10分と考えているうちに手元のコーヒーカップがみるみると冷めていく。結論を出さなければならない。どうするか決めなければ、この先何をすることもできない。
昔、地元の居酒屋で先輩がハイボールを呷りながらこんなことを言っていた。
「藤本、人生っていうのはな、"受け入れる"ということなんだ。人生には理不尽なこと、やりきれないことが沢山ある。自分自身ですら自分の思った通りにはならない。だけど、そういったことを受け入れながら歳を重ねていく。それが人生なんだ」なるほどなあ、それが人生か。じゃあ、Cookieも受け入れた方がいいか。人生だもんな。人生って言われちゃ、受け入れないわけにはいかないよな。
ただ、『全てのCookieを』という文言が少し引っかかる。全ての?全てって全部ってことだよね、今それを決めちゃっていいの?そんなに軽く?そういうものなの?えーうそー。あ、思い出した。昔付き合っていた恋人にこんなことを言われたことがあった。
「ねえ、あなたはいつもそうやってすぐ"ゼロか100か"みたいなことを言うのよ。でもね、人間ってそんな簡単に割り切れるものじゃないの。ゼロと100の間にある1~99の部分、そこに感情とか気持ちがあるの。でも、あなたはしたり顔で、解ったようなことを言いながらその1~99を無視してる。それって相手のことを尊重してると言えるのかしら?」
確かにー!そもそも、Cookieの件にしたって、『全ての』って言われても、こっちにだって受け入れたいタイプのCookieと受け入れたくないタイプのCookieがあるかもしれないし、「今は気分が乗らないからちょっとその辺に置いといて」みたいな時があるかもしれないじゃん?そういったグラデーションの部分を一切考慮せずに『全て』という前提を勝手に決めたうえ「イエスかノーか。どうする?」と言われても、こっちとしては「はあ??」ってなもんですよ。「受け入れるのはこっちなんだから、受け入れ方もこっちに決めさせろや」と思うのが人情なんじゃないですかね。そういう他者に対するベーシックな部分での気遣いって結構大切だと思うんです…っていうか、ホントそういうところだよ、インターネットくん。あなた相手の肌感や空気感を全然拾えてないのよ。全然ダメ。ぶっちゃけモテないでしょ?わかるよ。そんなんじゃモテるわけないよね…(ため息)
光る画面の前でインターネットくんへのクリティカルなモラハラをキメながら、わたしは『Cookieを受け入れる』をクリックした。前へと進まねばならない。無数の"現実"を繋ぐ電脳空間の荒波の中、どんな事態に直面しようともこの信念が変わることはない。御託を並べる時間はもう終わった。さあ、Cookieと共に行こう。この世界の果ての果てまで。あの空の上の上まで。本当の未来ってやつを、この手につかんでやるのさ。