Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
「都市の音風景」について語ります。
というほど高尚なものでなくとも、庶民の日常生活の中で聞こえてくる雑多な音は、それが何度も繰り返されることによって、人の生活に張り付き、いつのまにか記憶の奥底に染み付くようにしっかりと刻みこまれてしまいます。それがローカルなものであればあるほど、またどちらかといえば、やや迷惑なものであればあるほど、強烈に。
ほぼ毎日、能の一節を「よーしつねーがーー」などと謡いながら、前の道を通られる方がいましたが、ここ数年聞こえなくなり、数ヶ月前、また聞こえてきたときは窓辺に駆け寄って後ろ姿を拝見しました。久々だと有り難くて。
近所にお住まいの 素敵な額縁作家、有吉さん が京都の古紙回収について投稿されていたのをきっかけに思い出したのが、関西故紙回収協同組合とかいう回収業者様の音楽。
(会社名では故紙という表記ですが、車には古紙と書かれていました。)
やはり気にされている方は多く、検索すると動画やブログがかなりたくさんヒットしましたが、なんと、これまた数年前、近所に越してこられた、「なぎ食堂」の小田さん がtwitterに動画をあげておられるのを発見して感激。しっかりイントロのコーラスまで録られているこちらの動画は貴重です。
先日 @yasudaida さんに教えてもらった関西古紙回収業者のテーマがスリー・サンズの「誇り高き男」だという驚愕の事実。そして、未だに流れてる(笑)。
— Akinobu Oda (@mapupnews) June 4, 2020
ただ、またひとつ疑問が! 「暮らしの〇〇○ちゃん」ってなんて云ってるんだろう? 聞き取れない! pic.twitter.com/Pra9tRvV4R
そして驚くべき事実が!
なんとこの牧歌的メインテーマは、あの スリーサンズ の「誇り高き男」だと。
なんてイイ曲なんだろう!! ずっとただのオリジナル牧歌メロ(失礼)だと思っていた私がバカでした。スリーサンズは好きだったのに、まさか!
このテーマの前というか、イントロのオリジナルな女声コーラスも、私にはかなーり気になるものだったのです。まず、歌詞、何言っているかは、何度聞いてもききとれない。
テープは初代メロトロン並の劣化でビロビロしているし、かなりデカ音量の時期もあったとはいえ、すぐ通り過ぎていくし、拡声器だし。
でも、ネットのちからは偉大なのです。
「セーブグリーン、セーブマネー、かーんさーいこしっ! 」
凄い ! こんなエコでストレートで世界観の大きい主張を謳い上げていたとは。
そして、何よりもずっーと何年も気になっていたのはまさにこの部分、最後の「かーんさーい」というところ。
コーラスが何声部あるのか聞き取れないけれども、あきらかにコードがsus4になるのです! つまり、こんなかんじ。
(うちの地域ではKeyはEbから近づいてきてEに聞こえる。)
ここにずっと違和感を持っていて、聞くたびに「あ、サスフォー」。
“チャ~ララーラーチャラー”と、誇り高き男テーマが遠くから聞こえてくるたびに「サスフォーもうすぐ来るー」と、そこばかり気になってしまいます。
この箇所にsus4を使うのは間違いではないし、別に嫌いじゃないし、好きでもないけれど、ただ「気になる」のでした。
前半の牧歌メロと合わない? 車両イメージと合わない? 関西に合わない?
よくわからないけれど、毎回百パーセント違和感があり、それ故に、ますますこの音楽は私の脳みそに深い記憶を刻んだ、ということは、テーマソングとしては成功しているともいえるわけです。更に最初のテーマが牧歌ものではなく、「誇り高き男」となると、やはり、ここのsus4は「正解」であったと、私は負けをみとめざるを得ません。
このコーラスに続く超高音の女性ボイスのセリフは、「合図してください」以外は一切聞き取れないので合図もできないのですが ”知人がドライバーさんにお願いして録音したものを、文字に” された立派な方があり、全文判明。
<こんにちは! 子ヤギのキッドくんでお馴染みの関西故紙回収協同組合です。 ただ今古紙回収にお邪魔しています。 古新聞、古雑誌は余ってませんか? ダンボールでもO.Kです。 合図してください、すぐに伺います。 ありがとうございます。>
さて、誰も知らない「お馴染みのキッドくん」とは?
たまーーに、郵便受けにポソっと入れておいていただける、このポケットティッシュにヒントがありました。
右の子ヤギくんが、どうやらお馴染みのキッド君で、古紙は大切であると主張。
(でも、大好物だから食べちゃうんでしょ?)
その横で「ラッキー」という名らしき、クマさんか何かが倒れて、涙を流しています。
どうしたんでしょうか? 子ヤギに肉食を責められて蹴り倒されたのでしょうか?
クマなのに子ヤギにやられちゃうとは、アンラッキーなラッキー君。
資源を大切に。そこに異論はありませんが、平和も大切です。
古紙回収は、なにか暗黙の了解の上に成り立っていて、私の家あたりでは、毎週火曜日に来るようです。ということは、経験上、学んだことで、他の曜日に出しても持っていってもらえることが殆どなく、火曜日に出しておくと日付が変わるまでには必ずなくなっているということを学習して、火曜日に出しています。
近所の人に聞いてみてもおそらく明確な答えはかえってこないし、聞くことが野暮というか、無粋であろうという京都らしい空気感もあり、これは一種の都市伝説と考え、抵抗せず、火曜日にはダンボールを山積みにしてだしています。
以前はたしか、「ちりがみこうかん」とかいってトイレットペーパーに替えてもらえたのになぁ、とは思うけれど、時代がかわったのでしょう。
戸別の古紙回収には大変助かっています。各業者さまに、御礼申し上げます。
資源を大切に。平和も大切に。