Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
新年あけましておめとうございます。当リレーコラムの本年一発目担当としては気合の入った面白いコラムを投稿したいところではあるのですが、ひたすら曲を書き続ける日々の中、「クリスマス?お正月?どこの世界線のお話?」なんてもんで、仕事以外のことが何もないんですよね。というわけで今回は現在進行中のお仕事について書いてみようと思います。
まずは現在公開中の城定秀夫監督の 映画『恋のいばら』 について。すでに多くの方に見て頂けたようでSNS上で感想を読ませて頂くのも楽しい日々です。Twitterでも呟きましたが、僕自身も本作に一瞬出演しておりまして、なんと人生初のセリフまであるのです。僕は都合がつく限り自分が関わる映画の撮影現場を見学していきたいと思ってまして、本作で内トラ(スタッフがエキストラで出演すること)の打診があった時にも即答で「是非参加させてください」とお答えしました。そもそも城定監督の作品は「デコトラ★ギャル奈美」から折に触れて見る度にいち映画ファンとして魅了されていたので、城定監督の演出を生で見られて、尚且つ自らがお芝居をつけてもらえるなんて最高の機会!…とワクワクしながら現場に行ったのですが、なんの芝居付けもされず「素」で芝居をした結果があれです(笑)。いやー、お芝居をやりたい!と思ってる訳ではないですが、役の世界を作りあげられる俳優さんってすごいな!って改めて小並感。
僕が現場に出来る限り参加したいと考えているのには明確な理由がありまして。音楽などの映画制作におけるポストプロダクションチームはクランクアップしてからが仕事スタートなので映画制作の現場の一体感を感じる機会はほとんどないんです。そんな中で「自分がその作品を作り上げていくスタッフの一人なのだ」という自覚を持って作品の重さを全身で受け止めなければいけない、そのために現場には出来る限り足を運ぼうと考えているのです。いつか自分が内トラ出演した作品をまとめてその想い出を当コラムで書いてみようと思っています。
さて「恋のいばら」の話に戻りましょう。本作の音楽演出プランですが、小編成の室内楽的な編成で、作品全体を通してお伽話のような空気感が醸し出せれば…と考えてポストクラシカル、エリック・サティあたりを念頭に曲を書いています。とは言うものの作曲中にずっと頭の中で流れていたのはミシェル・ルグランの「ロバと王女」の音楽かもしれないです。リファレンス…ということではないのでかけらほどもその影響は感じ取れないと思いますが、僕の中でのお伽話の音楽といえばまさにあの映画なのです。美しく可愛らしいけれど毒がある…そんなイメージかな。
「恋のいばら」のサウンドトラック盤も発売されてます。各種サブスクでも配信されてますので、是非映画をご覧になった後も音楽だけで作品世界を反芻して頂ければ嬉しいです。
そして今週末1/14(土)夜10時からは 日テレ『大病院占拠』 が始まります。櫻井翔さん主演のタイムリミット・バトルサスペンス、毎回ハラハラドキドキの連続の楽しい作品です。まだオンエア前ですので音楽についてあまり多くは語れないのですが、少しだけ制作の舞台裏なども。本作の劇伴レコーディングは昨年末のクリスマスにサウンドシティで行われました。コーラス、金管、ストリングスを録ったのですが、ストリングスは「ボイス」「ボイス2」よりも一回り大きないわゆる8型編成で録っています。サウンドシティで8型の弦といえば一昨年リリースされた「Tokyo Scoring Strings」という音源がございまして、まあ演奏してる人は違うのですが同じスタジオ、同じ編成で音を重ねるとどういう効果が出るのかを試してみたかった…というのがそもそもの発端なんですが、去年の夏に大分頑張ってTSS=Tokyo Scoring Stringsの勉強をしてみたんですが、残念ながら自分の曲作りにはちょっと合わなかったようで…なんて話は専門的すぎてDTMerにしか伝わらないですよね、すみません(笑)。
「大病院占拠」と言えば「鬼」が出てくるので、音楽で「鬼」をどう演出するか、まずはその辺りを是非注目してください。「鬼」に関しては色々設定と絡めて音楽作っているのでなぜ、ここでこの音なのか?なぜこんなことをやっているのか?…は裏の設定として理由付けがあったりもします。その辺りもドラマ考察の重要なポイント…?かもしれません。
というわけで「大病院占拠」の音楽レコーディングはまだまだ続いていて、現在は2回目の音楽レコーディングに向けた曲作り真っ最中です。まだお話できることは少ないですが、まずは今週末、第1話オンエア、リアルタイムで是非ご覧になってください。
といったところで本年も何卒よろしくお願い致します!