Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
■ヤフオク!:2014年6月23日(月) 0時55分48秒送信
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おめでとうございます!
商品「KAWAI R-3A RHYTHMER リズムボックス 」を落札しました。
終了日時:6月 23日 0時 55分
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希望数量:1
落札数量:1
落札単価:12,050 円
というわけで、5回目となる愛着があり手放すことのできない機材を紹介しているこのシリーズで、今回紹介する「KAWAI R-3A RHYTHMER」は、2014年6月23日にヤフオクにて12,050 円で落札したものです。
詳細はよくわからないのですが、「KAWAI R-3A RHYTHMER」はおそらく70年代前半に発売されたアナログリズムボックスです。アナログリズムボックスは、ドラムなどの打楽器の音をアナログ回路で再現しリズムパートを演奏させることのできる機材ですが、アナログの回路では複雑な音色を作り出すことが困難であったため、実際の打楽器とはだいぶ印象の異なるチープで「ポコポコ」した音色が特徴です。さらに簡易的な伴奏に使用することを主な目的としたものが多かったため、80年代以降に「ヤオヤ」の愛称で有名な「Roland TR-808」などのプログラマブルな機種が登場するまでは、「ROCK」、「SAMBA」、「TANGO」、「MARCH」というような名前が付けられたプリセットのリズムをボタンで選択するものがほとんどで、KAWAI R-3Aもこのタイプのリズムボックスです。
過去に所有していたアナログリズムボックスとしては、80年代に当時まだ現行機種だった「BOSS DR-55」や「Roland TR-606」がありますが、時代の流れで後に登場したリアルなドラム音源が搭載されたデジタルのドラムマシンを導入した際に手放してしまいました。90年代にメンバーとして活動してた「NATURAL CALAMITY」というユニットでは、アナログリズムボックスの音を頻繁に使用していたのですが、実際にはその当時アナログリズムボックスを所有していなかったため、サンプルした音源を使ったり、98年に発表した「PEACH HEAD」というアルバムの制作の際には、縁があってロンドン郊外にある英国のバンド「Cocteau Twins」のスタジオ「September Sound Studios」がコレクションと言えるほど数多く所有しているアナログリズムボックスの中から幾つかを無償で貸し出していただき使用させていただいたこともありました。その後、中古で購入した「YAMAHA MR10」は今でも所有しているのですが、残念ながら故障で音が出なくなってしまっています。
2014年、友人でギタリストのMandogこと宮下敬一君とギターとベースのデュオで即興ライブをすることになり、手元にあった「YAMAHA MR10」を使おうと思ったのですが、故障してしまっていることが判明したため、新しくアナログのリズムボックスを調達することにし、ネットを中心に探してみたところ、ヤフオクでこのKAWAI R-3Aを見つけました。この機種ついては、ヤフオクで見つけるまで存在すら知らず、落札していいものか調べようにもネット上に情報がほとんどなく、ほぼ唯一音が聞けるものとして見つけたのは「COTTONIOO」という「KAWAI R-3A RHYTHMER」をメンバーとして紹介していた高円寺を中心に活動するユニットの動画のみで、詳しいことがわからないまま半ば賭けのような気持ちで落札したことを覚えています。今回改めて調べてみて分かったのは、当時KAWAIと系列会社であった「TEISCO」のブランドでOEMと思われる型番も外見も同一のモデルが存在すること、同じくKAWAI/TESCOブランドで「R-1A RHYTHMER」という廉価版と思われる機種が存在しており、さらにこの「R-1A RHYTHMER」に関しては「KAY」ブランドで海外にも輸出されていたらしいということなどです。
これまでこのシリーズで紹介してきた機材に関しては、愛着があっても実際に使用する機会は少ないものばかりでしたが、今回のKAWAI R-3Aは比較的使用頻度が高く、2014年の宮下敬一君とのライブの他、2017年、2018年とFuji Rock Festivalにも出演させていただいたギタリストの鈴木賢司さん、石井マサユキさんとのトリオ「Hula Hula Circus」でもライブや、近日発表予定のレコーディング音源でも全ての曲で使用しています。さらに現在手がけている別のプロジェクトでも使ってみようと思い、普段は押し入れにしまってあるのですが、このコラムを書いている現在も作業デスクに置かれています。
個人的にKAWAI R-3Aの比較的重心が低めな印象の音色や、若干クセのある個性的なプリセットリズムも気に入っているのですが、この機材を使用する最大のメリットと感じているところは、リズムパターンを自由に打ち込むことができないことで、そのことにより割り切って作業を進めることができます。KAWAI R-3Aの持つ自由度は、「TONE」というつまみで打楽器の高低のバランス変えられることと、例えば「Rock」と「Mambo」というような2つ以上のボタンを同時に押し込むことで、それらが組み合わさったリズムを作り出すことができる程度です。そもそも自由にリズムを打ち込みたい場合には、色々なリズムボックスのサンプル音源を所有しているので、わざわざKAWAI R-3Aを使用する必要がありません。そういったこともあってKAWAI R-3Aを使用する場合には「切り貼り編集しない(リズムパターン全体のループは可)」というマイルールを設けていて、もし曲に合うリズムがなければ諦めるか、「Hula Hula Circus」の場合には「リズムはKAWAI R-3Aのみ」と決めてしまったので、必要に応じてディレイなどのエフェクトでリズムのニュアンスを変えるなど若干の工夫を加えながら使っています。
他にも、いかにも70年代的な木製に金属パネルの筐体や、「RHYTHMER」というちょっと無理やりな感じのするネーミングなど含めて愛着のある「KAWAI R-3A RHYTHMER」は今後も手放すことなく、ことあるごとに使用していきたいなと思っています。
興味を持っていただいた方に