Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
インド綿ワンピースに、赤い鼻緒のインド綿草履スリッパ。
更に、植木屋さんのタオルに保冷剤を巻き込んだものを首に巻く。
そんな花火見物人風スタイルで納涼執筆しております。
さて、「元気にならなくちゃ」という時には、いつも元気な人の様子を拝見して、元気をもらいます。外れがなく、久々に見ると、たいていなにか新しいことをやらかしてくれるのがこのお方。
Hydraという、この三頭ギターはIbanezブランドで知られる星野楽器が制作。3年半かけてVai先生とやり取りをして、日本人ギタービルダー達が作り上げた逸品。
仕様説明のビデオ もあるのですが、演出過剰でちょっとわかりにくい。
とにかく、12弦ギターと7弦ギターとベースとハープグリッサンドを一人でやってしまおうというギターですが、腕は二本なのでいったいどうやっているのだろう? 強拍にギターとベース同時に入れられないのでは??と、色々心配で、まじまじと見入ってしまいました。
ギターに疎い私が何よりも驚いたのは、片手でギター、片手でベースを同時に弾けるんだということ。その一瞬の合間にハープのグリッサンドまで入れている。04:13のベースソロあたりからの展開には、ドキドキしてしまいました。
概要としては、
12弦–半分フレットレス,
7弦
4弦ベース (3/4スケール)-半分フレットレス
13弦のハープ,
エフェクター類 “Seducer, “Dragonizer,” “Climax Regulator,”
イーサネットアウト MIDI 各種ツマミ、メーター、その他(電飾用しかけ等)
Music is Win というギター関連のチャンネルに彼のインタビューが上がっていますが、そこでこれがどれほど困難な演奏であったかを語っています。とにかく重いので普段はスタンドを使うが、このビデオでは腰ストラップを使っている。それでも重くて足に負担がかかり、次の日は歩けなくなったとか、Muteたいへんとか、ピック掴むのたいへんとか、苦労話満載。
彼の脳の中には作曲家が居て、「すまないが、それは駄目だ」とか、ギタリストの彼にいろいろ要求してくる、というのも笑えます。
なんと、詳細をとてもイイかんじに日本語翻訳してくださっているサイトがありました。
ギタリストの方にはとても面白いと思うので、コチラ からぜひ読んでみてください。
Steve Vai先生は、ただ奇抜なことをエンターテイナーとしてやる人ではないのです。
いつも音楽上の自然な欲望をていねいに追求し、拡張していこうとする人。
実現してみせる人。そこにとても惹かれます。
過去音源を聴きなおしていると、Toyro コンピアルバム Colors 収録の私の ”金色の夏” と同じように、蚊の羽音コーラスを使っている曲 を発見。
音律問題にも真剣に取り組まれ、特別なフレットのギターを作ったりもされている。
同時に、ギターデザインのパテント?も持ち、ウェブではカラフルなアナログ盤から、このHydraのピンバッジまで販売、という新世代のビジネスセンスも持ち合わせておられる。
2020年に肩の腱板断裂の手術をうけ、右手は使えなくなっていたとき、なんと、片手だけで弾く曲を作られていて、実は去年、腱板損傷で右腕が固まってしまい、ピアノがまともに弾けなくなっていた私には格別にグッとくるものがあります。
見てください。右手はスリングで吊られた状態ですね。
この曲に関して ヤング・ギターさんによるインタビュー 日本語字幕版あり。
ギタリストの為のケガ予防の指ストレッチの指導もあります。
ばね指の手術もされて、そちらは快復されたようでよかったです。
身体の故障はいろいろ起こるもの。
それでもやれることをやっていくことは大切と、勇気づけられました。
というわけで、私もライブを少しずつ再開します。
9月28日京都西陣 Cafe天Q にて、沢田穣治さんと渡辺亮さんとの “楽団 あまぎつね”。
以前使っていたTonal Plexusという楽器は、まだ肩が痛くて持ち歩けないので、新楽器を準備しています。これがなかなか思うようにはいかないけれど、それでもチャレンジしていこう、という気持ちになっています。
元気な人。
もっとたくさんご紹介したいところですが、Vai先生一人でお腹いっぱいになってしまいました。
私には無理だけど、皆さん、できれば元気な人になってくださいね。