Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
数年前、写真をぎっしり入れた外付ハードディスクが反応しなくなった。しかし私は動じなかった。現代人のたしなみとしてバックアップは当然取っている。そして、そういう時のためにTime Machineがあるんだもんね〜と余裕をカマしてたら、うまくバックアップとれてなくて。え?Time Machineは?あまりに辛すぎるので詳細は割愛しますがそっちも......。とにかく写真が全部消えてしまったわけです。
今の世の中は便利だけど、最終的には使う人間の問題なのですね。几帳面な人は几帳面にバックアップを。そうでない人はそれなりにガサツな感じのバックアップを取っている。外付ハードディスクもTime Machineも、緊急事態になって久しぶりに見たので、正確に言うと「バックアップを取ってるつもり」だったのですね。いつからそんなことになってたのか。
とにかく、1999年以降の写真がぜんぶ消えてしまった。がっくりとうなだれていたら、急にハードディスクが動き出して、ああ、神様はいるんだ!と思ったけど、すぐ静かになった。やっぱりいなかったようです。完全に死ぬ前に少し復活しただけのようだった。少し期待をして気分が持ち上がった分、落ち込みはさらに深くなった。結局その後どうしたかというと、データ復旧サービスでレスキューしてもらった。お金?高かったです。
紙?プリント?今どき古いわねえと思って暮らしていたけど、紙は無くしたりしない限り、急に消えたりしない。破けたりしても貼り合わせればなんとかなるし、急にゼロになったりしない。写真データが消えた時、アルタミラ洞窟の壁画や高松塚古墳の壁画のことを思った。そんな昔から消えずにずっとそこにある壁画の確実さよ。
しかし壁画にするのはちょっと無理があるので、まあやっぱり紙ですよね。データとかやっぱりちょっと信用ならねえ......と完全に反動で時代に逆行しそうになった。が、今からもう紙に戻るのは無理なのだった。とにかくバックアップをがんばろうと思う。何が起きてもいいように二重三重に。
データを飛ばしてしまった時、これから先の写真の扱いのことを改めて考えた。自分が実家を離れる時に、自分の子どもの頃からの写真(プリント)をごそっと持ってきた。同じように息子にも、彼が赤ちゃんの頃からの写真を渡したいと思った時、ふと疑問がわいた。ハードディスクを渡すの?何個も渡すのだろうか。後年オジサンになった息子が子ども時代をなつかしく思って写真を見る時、ゴソゴソ実家から持ってきた段ボールの中からポルシェデザインの外付ハードディスク等を取り出すのだろうか。OSが、ケーブルの形状が、そもそもマシンが何だからダメとか平気なのだろうか。見られなかったりしないのだろうか。MacがOS9からOSXになった時みたいなことがあったら全然見られなくなるだろう。息子へ渡す形見のハードディスクはマシンとケーブルとセットじゃないとダメかもしれない。当時はまだ息子が小学生だったから、ママ友界隈にどうしてるかきいてみたのだけど、わりとプリントしている人が多かった。プリントしてアルバム作ってる人も何人もいた。お気持ちわかります。
そこから数年経ち、クラウドが一般的になり、ようやく安心出来るような気がした。しかし無料会員では不安が消えないし、容量も足りない。高額のところは無理だけど、負担のない程度にお金を払ってリスクを分散しようといくつか契約している。でも急にその会社が「サービスやめました」というかもしれない。「サーバが壊れちゃった」ということもあるかもしれないし、気が気じゃない。
現在、外付ハードディスクが2つ、Time Machineは1つ、クラウドは3つ使っている。最近あんまりハードディスクのことは気にしてなかったけど、また認識してなかったらどうしようと思って今見たら大丈夫でした。
たぶん、バックアップ取る必要がない写真もたくさんある。たぶんというか、じっくり見たらほとんどそうかもしれない。こんなんもらっても俺困るヨ、おかん......と息子が思うようなものもたくさんあるだろう。写真はこれからもどんどん増え続ける。写真を撮るのは好きだけど、選んで整理するのがつらい。消してしまったらもうこの世から消滅してしまうと思うと、わ〜‼︎って思う。写真データが捨てられない。家がゴミ屋敷になっている捨てられない人の気持ちが少しわかる気がした。形のあるものはわりとポイポイ処分する方なのですが。
というわけで完全にデジタルゴミ屋敷の住人になってしまった。これからも写真は増えて、そのバックアップのことを思うと今から気が重い。もういっそすっぱり写真撮るのをやめようかとすら思う。
大切なものは目に見えないんだよ みつを
と書いて終えようと思って、ふと検索したところ、これはみつをじゃなくて星の王子様の言葉だった。検索してよかった、というところまで書いてしまったら意味ないけど書いたっていいじゃないか。
以下、写真フォルダの中から、これはバックアップ取らなくてもいいんじゃないのと思うものを選んでみました。なんでこんな写真撮ったんだろうと寝る前にぼんやり見たりするのが好きです。
以下、写真データが飛んで傷心の数日間に繰り返し聴いてた曲
昔から弱ってるとSqueezeを聴きたくなります。