Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
見てよし、着てよし、食べてよし。
子どもの頃から貝が好きです。貝殻も集めています。電車、昆虫、レコード、古本、トレーディングカード、人形、カメラなど、この世にはいろいろな収集の楽しみがあります。ですが!美味しく食べたあとに、その殻を集めて愛でたりできるものは貝以外にそうそうないと思います。水着にする人はかなり少数派だとは思いますが。
貝殻を手に入れる方法はいろいろあります。私は買うこともありますが、海辺で拾ったりします。台風の翌日などは普段みかけない深さの貝まで打ち上げられています。砂浜に無数に落ちている美しい貝を前にして「こんなにたくさんある…!どうしよう…」と震えたことは何度もあります。
生きている貝はとりません。(種の保存とか漁業権のこともあるので)貝殻を拾うのはまあ自由だろう、タダだし。と子どものころから思っていました。しかし、大人になってからですが、ある日ふと「海辺で貝殻を拾うことの是非」を調べてみました。すると、基本全ての海岸は国有財産であると書いてある。そしてそこには、「海岸法」「自然公園法」という法律が存在していることを知ってしまいました。
海岸の保全を目的とした法律だそうです。許可なく砂や石などを採取してはいけないト。国立自然公園の敷地内における法律であるとか、自然公園内の土砂も含み動植物などの持ち出しを禁止、とか色々定められているようでした。
拾って帰るのは基本NG、でも県によっては「個人の趣味の範囲」であれば問題ないとしているところもありました。個人の趣味の範囲はどのくらいなのか。人によってかなりちがうよねココとは思いますが、わたし個人としては「販売目的とかでなければ良い」「部屋にかざってうっとりする程度の個数ならOK」という考えです。
この法律の存在を知るまでは貝収集の旅に出ることもたびたびありました。貝殻はこわれやすいので、飛行機で持ち帰る時は手荷物です。何が何でも手荷物です。ところが、手荷物検査のX線で細長い貝がクッキリうつって問題になったことがありました。鋭利なアイスピックか、ちょっと待てと。荷物を開けられて、タケノコ状の巻き貝とまるで鈍器の重たい貝をどうしたものかと係員が検討しています。縄文時代だったらコレで戦ってたと思いますが、貝の専門店でさっき買ったばかりの大事なものでなんとかしてほしい。ハイジャックとかしませんし。没収されちゃうのかなと思ったところ、一旦預かるけど到着したら返してくれるということになりました。それよりも前に同じ種類の貝を持ち込んだ時は何の問題もなかったので、911以降はやっぱりセキュリティが厳しくなってると感じました。
海外からオークションで買ったこともあります。貝殻は収納が難しいのでもう増やせない。平たいレコードや本がうらやましいです。仕方がないので本当に好きなものだけ厳選して大事にしています。武具として吹き鳴らす用の金具がついているホラガイ2つ、ポリネシアの人々が使う大きい貝の笛。こちらは金具なしです。その3つは子どもが生まれる時に手放しました。以前だったら、どこで手に入れたらいいのかわからないものが買えてしまう。見つけて買ったり競り落としたりしてしまう。本当に恐ろしい世の中になったものです。ホラガイは安めのスクーターと同じくらいの価格で夜更けのオークションは本当におそろしい。当時の自分は本当にどうかしてたと思います。
というわけで、今は法律や環境のこと、自分の経済、部屋の状況などいろいろな観点から貝殻を増やさないようにしています。ハマグリを食べたりした時にあまりに立派で捨てがたく、一つだけきれいに洗って取ってあったりはします。
数年前に海に行った時、春だったのですが砂浜にとてもきれいな貝殻がたくさん打ち上げられてました。当然我を忘れて拾い、帰るときにハッと我に返りました。我を忘れたり、我に返ったりしたのちに、貝殻をそっと砂浜に並べて置いて帰りました。一枚も持って帰らなかった。自分でもびっくりです。キャッチ&リリースです。三浦半島には私の好きな貝殻がたくさん打ち上げられているのですが、また来た時にひろえばいいや、我が家になくても、所有しなくても良いと思いました。もう持って帰っても良い状態で保存できない。ならばここにあって別な誰かの目を楽しませるほうが良いだろう。 貝殻を拾いたければまたここにくればよい。世界のどこかにあればよい。ようやくそう思うようになった最近です。貝のクラウドというか、サブスク?よくわかりませんが、貝殻収集欲に半ば無理やり終止符を打ったような。所有する時代の終焉。とビジネス雑誌の見出しみたいなことを思いました。
あと、ここまで読んでくださった方にお伝えしたい貝情報が一つあります。ホラガイのように肉食の貝の肝は毒なので食べてはいけません。
前に海辺の魚屋でホラガイを買って刺し身にしました。肝はピンク色でまるでサーモンパテのよう。美味しそうだったので何切れか食べました。食べながら、これって毒とかじゃないよね?と今更ながらに思って、モグモグしながら、「ホラガイ 肝 生食」で検索したところ、毒なので食べてはいけないと書いてある。その情報にたどり着いた時にはもう咀嚼&嚥下のあとでした。そういえば、口の中がピリピリするなあとは思ってました。読み進めるとフグの毒と同じヤツとか書いてあって!!!!!!でした。フグほど強烈ではないらしいのですが、自己暗示もあり、だんだんフラフラしてきました。グッタリ横たわっていると、息子は「お母さんがホラガイにやられた!」とショックを受けて泣いている。夫はあわててどこやらに電話をしていました。救急車かと思ったらそうではなく、「公益財団法人日本中毒情報センター」というところでした。Japan Poison Information Centerです。そのポイズンはふぐと同種類ですが、すぐ死んだりするような量ではないからこのあとはもう食べないでください。症状がひどくなるようだったら病院へとのアドバイス。
なにかの時の役に経つかもしれないので、中毒110番・電話サービスのリンクをここに記しておきます。
公益財団法人日本中毒情報センター
https://www.j-poison-ic.jp/110serviece/