Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
こんにちは( ^ω^ )
私は目がギョロっと大きくて、高校時代に付き合っていた男の子に「横向いて」と言われそのとおりにすると、パシャっとガラケーで写真を撮られ一言「めっちゃ目が飛び出ててウケる」。
目が大きくて二重なのは、可愛い条件の大事な要素!とファッション雑誌やらテレビやらで散々刷り込まれてきた私にとって、自分の目は当時の美を演出するうえでストロングポイントだと思っていましたが、どうやらそうでもなかったようで。
鼻筋や顔の輪郭、可愛らしい所作、いろんな要素をひっくるめると「可愛い」「モテる」フィールドには立てない素材なのだと落胆しました。
しかしそれから十数年、ルッキズムという言葉も知って、自分の見た目を市場に合わせる必要はないんだし、この素材を楽しんで生きていくことを受け入れられるようになってからは、ぽよぽよしているお腹も、飛び出た目も、クリームパンみたいな手も、私という人間を構成するには不可欠な大事な要素となりました。
自分で自分を楽しむようになってからは、それまで「出目金」「メガネザル」「テレタビーズ」など人間以外のものに喩えられがちだったのが、「誰々に似てる」と人間に変わっていきました。
今私は人間として生きているなー!って思います(?)。
どうしてこんな話をしたのか。
それは、コラムの文字数稼ぎです。
さて本題ですが、私は占い師でした。
というには語弊あり。占いコンテンツを営む会社の正社員見習いでした。
音大を卒業して、バイトをしながら音楽活動をしていた私は、当時めちゃくちゃ少ないバイト代のなかで家賃を払い(いわゆるワーキングプアってやつ?)、ライブのサポート代や衣装代、チケットが売れない時はノルマ代なども捻出していたため、生活が回らなくてガスや携帯が止まってしまうこともありました。
でも音楽を仕事にするためには機材をちゃんと買わないといけないし、コンペにも参加しなきゃだし、そのためには今よりお金と時間に余裕がないと…と頭を抱えながら転職サイトに登録。バイトしかしたことがなかったので、「経験不問!アットホームな職場です(^_^)」みたいな募集を見ていたところ、占い会社を見つけたのでした。
仕事内容は「占いコンテンツの運営。分からないことがあればスタッフが優しく教えます!」とあり、研修期間中も当時のバイト代よりも10万円ぐらい多かったのも魅力的で、すぐ面接を受けにいきます。
まず白紙の紙を目の前に出され、「辻林さんは牡牛座?では、牡牛座の今日の運勢みたいなのを短めで良いので書いてみてもらえますか?」私は、めざまし占いのノリを思い返しながら書いて提出しました。すると「おー!いいですね!これぐらい書ければうちで問題なく働けますね。」
あっという間に採用が決まり、それまで働いていたファミレスのパートの皆さんから頑張ってね!と送り出されながら、私の正社員への道が始まりました。
しかし、期待で膨らんでいた胸も、出社初日でしぼみます。
日勤は10時間、夜勤は14時間?その時点でやばかったんですが、なにせ社会経験の乏しいものですから、大変だなぁぐらいにしか思っていませんでした。
ここがオフィスで、今日はこのデスクに座ってね。と案内され、若くて可愛い社員さんが仕事内容を教えてくれることになりました。
「今日の占いコーナー」とか編集するのかな?とワクワクしながら椅子に座ると、社員さんが「はい、今日は◯◯先生になってもらおうかな。」と言います。「うちのサイトこれなんだけど、ほら、今何人か先生が居るでしょ?今日はこの◯◯先生としてメールを返してね!」
アッ…
と、頭の良くない私も一瞬で察しました。
実在してない占い師を演じる仕事なんだ…と。
先生によってキャラクターが違うので、その日に担当になった先生になりきって返信しなければなりません。今日はベテラン女性占い師、今日はイケメン占い師。ユーザーは、占い師への電話禁止、直接コンタクトを取ろうとするのも禁止で、先生とお話しするには自社サイトのメールフォームを介してのみ可能。
なるべく多くメールのラリーが続くように、社員さんが文章の作り方を教えてくれます。
占い師じゃない人間が言っていい占い風表現、断定は避けろ、しっかり相手に寄り添って返信する、など。
ただ、これは商売でやっていることなので、なるべく少ない時間でたくさんのメールを返す必要があります。そこで出てくるのが「テンプレ」です。
私は試用期間3ヶ月を終えるどころか1ヶ月半あたりで、出社するのが嫌で毎朝お腹がめちゃくちゃ痛くなるようになりました。なぜなら、「テンプレ」の存在に罪悪感を覚えたからです。
手相とか占星術の占いがとても好きで、年に1回みてもらうぐらいの私ですが、お金を払う理由として「ちゃんと勉強した人がその知識をもって占いしてくれる」というのがあります。
しかし、今私がやっていることって、占いの勉強をしたわけじゃない人が作ったテンプレを、占いの勉強をしたわけじゃない人がそのまま使ってお金を貰っている、ってことです。
ちょっとでもユーザーの相談内容に触れて、親身になって返信するならまだしも、そのテンプレは、全然違う悩みを抱えているユーザーたちに、1文字も書きかえずに使用することがありました。
「先生が本当に返信してくれてるんですか?」と怒るユーザーもいました。でも、一番しんどかったのは、「先生のおかげで本当に助かりました」など心からお礼を言ってくれるユーザーの存在です。
平気なスタッフは息をするように返信をしますが、私のように負の感情を溜め込む人も多く居たように思います。
結局、そろそろ試用期間が終わり正社員になるかどうかの面談を受けるタイミングで、この仕事を辞めることにしました。そこから数ヶ月ニート生活を送っている最中に、1stアルバムを制作し、今に至るのでした。まとめかた雑!
私は、占いは対面のだけにします!