Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
昔、友人たちとTascam 244で曲作りをしてる最中、突然「しょうもない、ションベンくさい曲が好きやねん」と言われて、どうゆう話の流れだったのか忘れてしまったけど、その曲はミーナの「砂に消えた涙」だったのかPilotの「Magic」だったのか、それともゾンビーズの「ふたりのシーズン」だったのかしら。
今回、自分の生涯ベストソング(断然、Slyの「Family Affair」)とかビートルズのベストソング(「Come Together」かなー)とか、立派なことを書こうとしていて、この友人の過去発言を思い出し、「好きだというのが恥ずかしい、好きな曲」という基準でマイベストを選んでみる事にしました。生涯、中二病でしょうか。
1.麻丘めぐみ「森を駈ける恋人たち」
いや、アイドル好きではないですよ(必死)、ジリオラ・チンクエッティの「雨」とかマージョリー・ノエルの「そよ風にのって」とかの邦楽版。ピック弾きエレキベースの8ビートがカッコいい、筒美京平先生の極私的ベストソング第3位です(ちなみに、1位は西田佐知子「くれないホテル」、2位は欧陽菲菲「恋の十字路」)。
2.ウィルマ・ゴイク「花のささやき」
1966年サンレモ音楽祭入賞曲。中2でロックに目覚める(学校で映画「Let It Be」を見に行ったせい)直前、ラジオの深夜放送を親に隠れてイヤフォンで聞いていた頃に刷り込まれたとおぼしき曲。しょぼいエレキギターの音色がたまらん。
3.ドヴォルザーク「新世界より」第2楽章 第2主題
チャイコフスキーの「くるみ割り人形」は、今でも正々堂々好きだと言えるのだけど、ドヴォルザークのココ(5分48秒あたりから)は恥ずかしい。くだらないマイナー好みと思われ。中1の頃学校帰るなり即レコードを大音量でかけて没入(登校拒否になりかけていた)、近所に迷惑かけまくりでした。
4.荒井由実「晩夏」
荒井由実は「ベルベット・イースター」を好きだというのは恥ずかしくないのだが、「花紀行」と「晩夏」を好きだと公言するのは恥ずかしい気がする。なぜでしょうか。「晩夏」はNHKのドラマの主題歌で、都会と田舎の対比を描く山田太一の脚本と、お先真っ暗な方向にドロップアウトしつつある大学生の自分(バンドしかやる気なし)を重ね合わせ、丘から犬の名前を呼びながら下りたくなった帰省中の夏の終わり。
5.ジョン・カーペンター「エスケープ・フロム・ニューヨーク」
ん、これはかっこいいのかも。主旨が違う気もするけれど・・・。映画監督ジョン・カーペンターは、シンセサイザーで自分の映画に音楽も付けてしまって、言いたいことがストレートに伝わってくる、おもしろ音楽家。ライブもやってる。バカバカしく清々しい。
6.春日八郎「お富さん」
最後は、この曲でお別れしましょう。Spotifyはライブ録音しかなかったのですが、ぜひ1954年のオリジナル・バージョンで聞いていただきたい。実は三橋美智也の「達者でナ」とどちらにしようか迷ったのですが、ダンサビリティ(ダンス誘発性)の観点から、こちらを選択。両曲ともに、子供の頃は死ぬほど嫌いだったのに、今「恥ずかしいけど好き」と思う自分が嫌い。タンゴやファドも聞くし、アルフレッド・ハウゼの「真珠貝採り」(原曲はビゼー)みたいなムードミュージックもエキゾチックで好きだったのに、日本の歌謡曲だけは今だに抵抗感があって、たまに好きなものがあると共感性羞恥らしきものが発動するのです。