Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
10代の頃からシンセサイザーに興味を持って、最初に手に入れたのはROLANDのMODEL101というものだった。その後、大学の入学祝いでSYSTEM100M、アルバイトして貯めたお金でDX7、Prophet600と手に入れていく。20〜30代、音楽でお金を稼ぐ様になったら、生活費以外、ほとんどシンセサイザーかレコード、CD、パソコンに費やしていた様に思う。
気がついたら十畳の部屋両サイドにびっしりシンセサイザーやエフェクターが並んでいた。Prophet5、KORGのPS-3200、ARPのRHODES CHROMA、EMS AKSなどを手に入れた時は「生きててよかった!」と感謝し、機材に囲まれた幸せ一杯の毎日だった。
しかし、幸せは長くは続かなかった(いや、ある程度は続いたかな?)。
ソフトウェアシンセサイザーが現れ、その音質や機能もみるみる発達していく。そんな中、東京から大阪へ引っ越す決断をする。この量の機材、運ぶのか?そもそも新しい家にこの機材は入るのか?
ひとつ気持ちがふっきれると断捨離というものは実にスムーズに行くもので、ハードウェアシンセ、エフェクター、レコードはほぼ全て、CDもかなり処分したのだった。
そして今、自宅に残っているシンセはKORG MS-20が4台、ユーロラックのモジュラーシンセ類、ライブで鍵盤として使う為にKORG TRINITYのみ。あとは全てソフトウェア音源で制作を行っている。
もうハードウェアのシンセサイザーを買う事もないだろうと思っていたが、つい最近、気持ちが揺らいでいる。是非とも手に入れたい製品と出会う事になったのだ。古いシンセの復刻版などは、それほど気にならない。昔ほど機材への憧れも強くはなくなったし、ソフトウェア音源でもビンテージの太いシンセの音はかなり出せると思う。それでも欲しいと思ったのだ。それがARTURIAの POLYBRUTE という製品。
https://arturia.jp/products/item/polybrute/
このPOLYBRUTE、リットーミュージックが運営する楽器専門検索サイト「デジマート(https://www.digimart.net)」の製品紹介動画の撮影の為にお借りしたのだが、さわってて、とにかく楽しかった。お気に入りの機材やソフトウェアを手に入れた時って、時間を忘れていじくってる!そんな感じだった。
この製品、何がすごいかと言うと、思いつく限りのシンセの機能が何でも搭載されている。「こうだったらイイのに〜」という設定が全部出来る様になっている。オシレーターにはサブオシレーター、シンク、FMはもちろん、フィルターFMもおもしろい。2つのフィルターはスタイナーとラダータイプで直列、並列、その混合も可能、マスターカットオフのつまみがロータリーエンコーダータイプで2つのフィルターのカットオフを同時にスムーズに動かせる。
何より本体右の8×12のボタン群「マトリクスパネル」は圧巻で、プリセット音の選択の他、EMSのピンの様に様々なモジュレーションをパッチングする為に使用するのだが、その設定方法も実によく考えられていて、スムーズでわかりやすくて便利。シーケンサーやアルペジエーター使用時にも効率的に機能する。
細かい設定もディスプレイで行えるし、エフェクターもモジュレーション系、ディレイ、リバーブそれぞれ優秀だし、シーケンサー、アルペジエーターがまたすごく良く出来ているし、、、。
更に更にすごいのが、鍵盤左のMorphéeというコントローラーで指をパッドにタッチする形でx軸、y軸方向に、そしてボタンを押し込む事でz軸方向に、モジュレーションやモーフィングをコントロールする。リボンコントローラーまで装備されている!
いや〜〜、ここまで充実してるシンセ、みたことないな〜。
そのどれもがユーザーの事を考えた使いやすさ。
あ、、ついつい熱くなって楽器のレビューみたいな文章になってしまった。
アナログシンセの音ではあるけれど、デジタル系の綺麗な音も得意だし、表現力がハンパない。そのシンセにしか出せない独特の個性というのは少ないが、どんな音にも対応出来る感じがする。
という事で、久々に部屋に置いておきたいハードウェアシンセが出現した。断捨離と逆行してしまうけど、、、どうしよう、、。
買うか?買わないか?は、私次第です!。
シンセ好きの私としては、とにかく最近一番感動してワクワクした事だったので書いてみた。
デジマートのサイトでこの POLYBRUTEの機能を解説した動画 が公開されています。こちらも是非ごらんください。