Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
音楽の会社とはいえ、音楽の話ばかりするのもどうなのかな、ちょっとそれ以外の話もした方がいいんじゃないのかな。ということで、2020年に日本で公開された映画やドラマの中から、青春もの(もしくは成長譚もの)としてわたしが好きだった作品を5つセレクト、劇中で使われている楽曲とともに紹介していきます。…結局、音楽の話するんじゃねえか。
ラブレターの代筆による三角関係を描いた青春映画…そう聞くと少し古典的に感じるかもしれませんが、しかし、数多の引用を織り交ぜた軽妙なシナリオによって紡がれていく物語は現代的かつエモーショナルで、いやもう、ホントに良いの!ホントに!(急にテンションが上がって)
他者と関わる中で相手を理解しようと努力し、同時に自分とも向き合い成長する。そして、旅立つ。いやあ、青春ですね。そんなストーリーの"山場"のひとつで流れるのがChicagoの「If You Leave Me Now」。それがどんなシーンなのかは是非ご覧になって確かめて下さい。
いわゆるアメリカンハイスクールもののコメディなんですが、現代的なある種の理想像を提示しながらも、そんな"意識の高さ"を微塵も感じさせることなく、マシンガンのような勢いで矢継ぎ早に繰り出される下ネタ、そしてFワード(笑)。知性を悪ふざけとエモで包み込んだ青春映画の新しいスタンダードが生まれてしまったなあという感じです。ヒップホップを中心とした劇中音楽の選曲もとても良くて、その中でも印象的な使われ方をしているのが、DJ Shadowの「Nobody Speak」。めっちゃクールっす。
この映画、劇中で起こる出来事のほとんどが馬鹿馬鹿しくて最高です(褒め言葉)。フィンランドは人口比としてのメタルバンドの数が世界で一番多いというメタル大国で、つまり、一般的にフィンランドと言えば「サンタクロースかサウナかメタル」なわけですが(わけですが?)、そんなメタル大国が本気でメタル映画を作ったら、そりゃ面白いのは当然ですよね(ですよね?)。しかも、ちょっと感動もできちゃうからすごい。紹介する曲は、主演のバンド("Impaled Rektum" 訳:直腸陥没)のオリジナル曲。普通にかっこいいので困ります。
少人数の会話劇を中心に進行していくのですが、なぜこんなに感動してしまうのかしらというほど感動してしまいます。それぞれがそれぞれの気持ちで見つめるグラウンド、そして同時進行で語られていく"はしの方の彼ら"の青春。「しょうがない」という言葉を許容しつつも、「その次に何をするのかが大事」というメッセージがとても熱く、そして、「しょうがない」で終わらせなかった"彼"の名前が叫ばれる時、涙腺は大崩壊ですよ。まいったね。主題歌になっているthe peggiesの「青すぎる空」、 高校生の青春ストーリーにぴったりです。
少年ジャンプ的な(または昭和的な)スポ根物語と、60年代のアメリカのおしゃれさを奇跡的なバランスで掛け合わせた話題の作品。ストーリーは王道かつ熱血でグッときますし、画面に映るものは大抵おしゃれで眼福ですし、観ていて非常に楽しいです。劇伴も素晴らしいのですが、60年代当時の既存曲の使い方も良くて、Mason Williamsの「Classical Gas」が流れるシーンなどは本当に「おしゃれな少年ジャンプ」といった趣き。おすすめです。